経済同好会新聞 第72号 「将来世代のツケという人質」
将来世代のツケという人質
隠ぺい、改竄が常態化した安倍政権
新型コロナウイルス感染症の対策を検討してきた専門家会議の議事録を政府が作成していないことが28日、分かった。「歴史的緊急事態」に指定された新型コロナ対策の検証の妨げになる可能性がある(共同通信)。
この記事に対し国民民主党の玉木雄一郎代表はツイッター上で「なんでこんなことになるのだろう。総理自身、公文書の作成が義務づけられる「歴史的緊急事態」に指定すると明言したのではないか。公文書は今を生きる私たちだけのものではなく将来世代も含めた国民共有の知的資源である。公文書を軽視する政権の姿勢は容認できない。これね。野党が批判ばかりとは違うんですよ。新型コロナ感染症に対して時の政府がどう対応したのかの記録が残らないと、事後検証もできないし、結局、第2波、第3波も防げなくなるということ。野党だけでなく与党の議員も、そして国民にも知らされるべき情報が知らされなくなるということなんです。」とツイートした。
嘘がバレなければ、言質さえ取られなければそれで良しとする人達は一定数いるが、安倍政権は黒塗りの議事録も多く、今度は議事録自体を作成していないとは末期を超えた症状ではないのか。以前の安倍首相は「歴史認識」と言い支持層を引きつけてきたが、歴史認識は一次情報を調べ検証することは常であり、今の安倍政権は検証すら出来ない状態を自ら作っているという矛盾はどう説明するのだろうか。
悪質極まりない「国の借金」論
デマを流す御用学者の中でも特に悪質なのが、「国の借金」を国民の借金であると錯覚させるものだ。当新聞でも何度も取り上げているが、国の借金とは正しくは「政府の負債」だ。厳密には「政府の貨幣発行残高」になる。
他には、財政出動のことをバラマキと言い換えることで、国民に悪いイメージを持たせることをメディアを通じて長年やってきた。国民は「バラマキすると国の借金が増えて困る」と思うだろう。これはやがて「無駄を削れ」の大合唱を引き起こし、緊縮財政を後押しするようになった。結果、貧困と格差が開き、各種分野が衰退していったのだ。
「国の借金」「バラマキ」こういった複数のキーワードが関連付けされ、更に「無駄を削れ」を関連付けさせる。情報の影響はこういった関連付けが多く、例えばこの場合「バラマキ」のキーワード1つだけを見ても、瞬時に「国の借金」「無駄を削れ」に関連付けされる。長年の習い性としてネガティブワードとして認識してしまうのだ。これを錯覚と言うが、国民の多くがこの錯覚に陥ってしまっている。「放漫財政」や「将来世代のツケ」に然り。
大半の国民は日本に財政問題は存在しないという事実を知らず、さらに御用学者は常に「国の借金」というキーワードを入れて財政に問題があるとして煽っている。このせいで、多くが緊縮財政の犠牲になっているが、未だにデマを垂れ流し続けていることは悪質極まりなく許しがたい。
将来世代のツケ
国の借金というデマは将来世代のツケに関連付けさせ、緊縮財政の方便によく使われる。国民の善意を利用するこの汚いやり方は、人質論法とでも言うべきではないか。
財政問題のない日本に、将来世代のツケはない。ツケがあるとすれば、デマによって国民と国家が衰退していることだ。今のツケは将来世代のツケでもあり、早晩、緊縮財政をやめることが今も将来世代のためである。