経済同好会新聞 第193号「積極財政から逃げる麻生財相」
積極財政から逃げる麻生財相
国民の命より財政規律にしがみつく御用学者
日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない
これは財務省が認めているものだ。その一方で、財政規律を重要視する矛盾。なにが矛盾なのか。
財政規律とは、「財政赤字を拡大すると財政が悪化するため、財政は歳出と歳入は均衡していなければならない」というものだ。つまり、税収を財源とする発想である。これは金本位制から生まれる発想であり、現在の管理通貨制から逸脱している。財務省が自国通貨建てのデフォルトは考えられないとするのは、管理通貨制を採用してのことなのだ。
それでは、自国通貨(かつ変動相場制)を発行している国はなぜ財政破綻しないのか。これはいわゆる国の借金(政府の負債)を自国通貨を発行して返済しているからだ。驚く方もいると思うが、これが事実なのだ。英国や米国も同様の手順を踏んでいる。
つまり、理論上では政府は税収とは無関係に、お金の支出が可能なのだ。ただし、制約は当然ある。その制約とは、インフレ率2%だ。当新聞では制約はインフレ率とは言って来なかったが、「実体経済を毀損しないこと」これを制約としている。
なぜならば、経済は人間の営みであって数値化はあくまで目安でしかないからだ。
インフレ率2%を目安とするのは、これまでの各国が経済成長をしている状態がそうだからということもあるだろう。この目安は非常に重要で、インフレ率2%以下になれば、どこかに原因があると見做す目安にもなるからだ。
ちなみに、日本の経済成長はこの数十年来しておらず、その理由は財政規律が原因だ。
国民の善意を利用する御用学者
国の借金で将来世代のツケが!
このようなことを言われてしまえば、人の良い国民はコロッと騙されてしまうだろう。そして、
国の借金が膨らんで財政破綻する!
このような言葉で、善良な国民を何重にも言葉の力で騙して来たのだ。ところが、コロナ到来でその嘘がばれてしまった。特別定額給付金十万円が給付されても、財政は微動だにしなかったのだから。むしろ、恩恵を受けた人は多かったろう。
財政規律を重視するあまり、消費税を据え置いたまま。これでは給付金の効果が薄れるのは論をまたない。 驚くべきことに、このコロナ禍にあってさえ、自粛要請しながら補償をしない。自国通貨を発行できる主体である日本政府が、国民の命よりもありもしない財政規律を気にしている。
医療現場は困窮し、つい最近では貧困家庭の母子がためらいを見せながら自殺したとの報告もある。企業も切迫した状況に追いやられ、店じまいをしたり、店じまいするしかないと嘆く経営者も増えてきている。これを自己責任と言って叩く愚かな人もいる。
政府は救済する手段がありながらもして来なかったツケは、国民が払い続けている。ツケは分断をも生んでいる。
これらは政府による人災だ。御用経済学者に然りである。