税制の破壊者 竹中平蔵
人頭税の導入を目論む政商達
竹中平蔵パソナ会長は、1998年に発行された「日本の論点99」でこのような記述がある。
戦後日本の極端な累進課税制は“悪しき結果平等”の価値観を普及させたとして、資本・労働など生産要素に対する課税を大幅に低下させ、かつ税率をフラット化する「フロンティア型の税制」を推奨しており、各労働の潜在能力を積極的に発揮させる意味で、所得税の最高税率を引き下げることが緊急の課題であるとしている。
竹中氏は目的遂行のためには、言葉を巧みに操り、世論を誘導する。税制は累進課税が正当であり、竹中氏の言う「極端な累進課税制は“悪しき結果平等”」の「悪しき」という言葉をつけることで、読み手に累進課税が悪であると印象付ける。更に、税制のフラット化は無所得者から富裕層に至るまで課税されるものだが、「フラット」という言葉に騙されてはいけない。これは人頭税を念頭に置いたものであり、人間であれば課税する発想だ。彼は現に、人頭税への切り替えを究極の税制であると位置づけている。
竹中氏が小泉政権時にやったことは、住民税の均等割があるが、既にここでフラット化を実現させていたのだ。目的のためには手を変え品を変え、名称を変え、遂行してくるのだ。都構想も竹中氏が関わっている。
異常な世界観
当新聞で何度も口酸っぱく言って来たことは、我が国は管理通貨制であること。税を財源にする必要がないため、税は専ら経済の調整弁の役目として必要ではあるが、直接的な財源ではない。特に重要なのは格差是正としての税制だ。竹中氏のいうフラット税は、格差拡大のための税制である。彼はかつて「若者は貧乏になる自由がある」と言っており、、この言葉が暗示するかのように構造改革で若者たちは貧困化したのだ。誰もなりたくて貧乏になったわけではなく、異常な世界観を持つ政治家により、誤 った経済政策と構造改革のツケが若者を貧乏にさせたのだ。それが小泉政権以降の自民党である。根本が竹中平蔵観のため、経済政策はことごとく全て間違えてきた。当然のことながら、前提が誤れば結果も誤る。世界観が誤れば現実は誤った結果が反映される。政治は結果と言ったのは安倍前首相。ことごとく誤ってきたのだ。
いくらなんでも、経済学を知る者であれば、フラット税に累進性がないことは理解している。仮に所得税をフラットにする、すなわち、一律の税率で低所得者から富裕層にかけて課税することになるが、消費税同様に低所得者であるほど負担が大きくなり、一方で富裕層の負担は減るのだ。本来は低所得者の負担を減らし、富裕層の負担が大きくなるのが累進性のある税制である。竹中氏はこの累進性をやめろと言っているのだ。つまり、富裕層の税負担を低所得者に移動させることを意味するのである。税制をフラットにする等と言う政治家いれば、到底受け入れられものではない。
税制はその国家の導線であり、内需国である我が国は累進性のある税制が最も好ましい。税制のフラット化は導線を歪にし、更なる格差拡大で国民の疲弊を誘うものである。これほど無神経で厚顔無恥な竹中氏に経済学者達は抗議しないのか。更に、高市早苗議員は減税はしない、将来は所得税をフラット化すると公言している。誰が背後にいるか透けて見えているではないか。