「経世済民」同好会  -HatenaBlog支部-

経済とはそもそも略語であり正しくは「経世済民」と言います。それは「世よを經をさめ、民たみを濟すくふ」つまり、民を救うことが含まれます。「経済」とは私たちが救われてこそなのです。 経済成長のために私たちが犠牲を払うことはないのです。そんなことを様々な角度から訴えていこうという有志による同好会です。記事は複数人がそれぞれ好きなように書くスタイルです。

経済同好会新聞 第312号 「労働分配率を上げよ」

労働分配率を上げよ

労働分配率を上げよ

生産性向上の意味するところ

 この数十年で我が国は、短期成果を求める市場原理主義のような思考をする者が非常に増えた。構造改革こそが生産性を上げるために必須であると言わんばかりであるが、この場合の生産性向上とは、企業同士の競争力を指しており、他社から売上を奪い合うことになる。当然のことながら、競争に負けた企業は潰れるため、国内総生産(GDP)は増えない。企業の生産性向上はGDPに寄与するような錯覚に陥りがちなのは、企業の生産性をマクロ経済に当てはめようとするためである。
 ケインズはGDPの増加には「有効需要(新規の投資と消費)」を増やすことだとしており、この有効需要を増やすためには次の事柄が挙げられる。

 

①企業に投資させる(金融政策)
②政府が投資する(財政政策)
※①は間接金融の活性化、②は減税と財政拡大。

 

 この数十年の緊縮財政ないし、消極的な財政政策から転換するには、①と②は必須条件である。改悪された税制を戻すことに然り。これらをすることなく「生産性向上だ!」と言う経済学者や政治家がいれば、前述したように企業を競争させることにしかならず、それこそ企業淘汰を狙っていたと見るべきであろう。加えて、株主(資本家)の配当が飛躍的に増えていることからも、コスト削減(労働者の解雇や低賃金雇用)による「まやかしの売上増」だったことは明らかだ。更に、これら労働者を犠牲にした生産性向上は本末転倒であり、ワーキングプアが出るような構造に変えてきた政治家や政商は万死に値する。

 

GDPへの寄与

 我が国は経済停滞とデフレを繰り返してきたが、これは新自由主義的な構造改悪と経済政策が原因だ。マクロ経済では財政政策でGDPに寄与するところであるが、現実は貧困・格差拡大したままだ。なぜならば、政商や主流派経済学の知識を用いた者達が誤った政策提言をするからだ。政治は結果である。
 恐ろしいのは「効率よく儲ける」この言葉。これは資本家が企業に対して生産性向上を促す、つまり、コスト削減をして配当に回せということになる。繰り返しになるが、企業がコスト削減しながら売上を出す時というのは、労働者の解雇や低賃金で労働者を雇用することである。
 もし、生産性が上がったことが事実であるとして、なぜワーキングプアが存在するのだろうか。この矛盾はこうだ、パワーバランスは完全に資本側にある事。コスト削減を是とする今の低すぎる法人税制では、労働者への分配率を低くさせ、現場や労働者の凄惨性のみ向上させる短期成果主義では、解雇や雇用の流動性が向上し、労働者は守られない。現在は、大切な労働分配率を低下させ労働凄惨性を向上させながら、ワーキングプアを生み出し続けている。したがって、生産性の指標は労働者の所得に寄与せず、これはそのままGDPに寄与しないことを意味する。
 GDPへの寄与は上段で述べたマクロ経済政策を採用し、政府による投資と企業による投資が必須だ。労働分配率を上げるためには法人税率を引き上げ、経済成長をさせるためには消費を抑制する消費税を廃止する。いい加減に労働者の努力不足のせいにするな!労働者を蔑にするな!