「経世済民」同好会  -HatenaBlog支部-

経済とはそもそも略語であり正しくは「経世済民」と言います。それは「世よを經をさめ、民たみを濟すくふ」つまり、民を救うことが含まれます。「経済」とは私たちが救われてこそなのです。 経済成長のために私たちが犠牲を払うことはないのです。そんなことを様々な角度から訴えていこうという有志による同好会です。記事は複数人がそれぞれ好きなように書くスタイルです。

経済同好会新聞 第315号 「憑りつかれた財政再建」

憑りつかれた財政再建

憑りつかれた財政再建

憑りつかれた財政再建

プライマリーバランスで偏る富

 一部を除く与野党の政治家に共通していることに、財政再建がある。これは当新聞で何度も出て来る言葉「プライマリーバランス黒字化目標」と密接に関わっている。改めて、プライマリーバランスとは。

 

 文教、医療・福祉、公共事業、外交・防衛などにかかる行政費用を、借金せずに、税収などの歳入だけでどの程度まかなえているかを示す指標。国の場合、国債などで調達した資金を除いた歳入(税収・税外収入)から、国債の元利払い費を除いた歳出を差し引いて計算する。つまり借金の影響を考慮せずに、単年度の収支均衡がとれているかどうかを示す。基礎的財政収支ともよばれる。

 

 プライマリーバランス黒字化目標とは、国民から税金を回収し、政府の債務(赤字)を減らすことを意味する。つまり、政府の支出額よりも税収額を増やすことで、政府を黒字化することを目標にするものだ。経済が停滞している時にこれをやると、所得が上がっていない国民にとって税負担が増えてしまう。我が国は管理通貨制であり、税を財源にする必要がないことは何度も述べてきた。したがって、プライマリーバランス自体が無意味であり、無暗に国民や企業を苦しめる元凶だ。
 新古典派経済学を是とする主流派経済学者や経済評論家は、プライマリーバランスが改善されないと実体経済や財政にどのような悪影響が出るか詳細に説明しない。否、出来ないのだ。数日前には財政の現状について、財務省の矢野財務次官殿のお言葉にはこうある。

 

 タイタニック号が氷山に向かって突進しているようなものだ

 

 この程度なのだ。「いつか隕石が落下して日本が沈没する!日本が!世界が!人類が!地球が!」レベルの妄言である。伝説のトレーダーと呼ばれる者に然り、とにかく誤りを認めない。財務省自体は外国格付け会社宛意見書要旨において次のように述べている。

 

 日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない

 

 つまり、財政破綻は考えられないとしているのだ。更に、なぜ「日・米など」としているかは、暗に我が国は米国同様の管理通貨制であること認めているからである。ただし、財務官僚の出世条件が財政規律で成果を出すところにあるため、タイタニック号を例に出しながらも、あたかも破綻するかのように誘導しながら、一方では「自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」とする矛盾を抱えてしまう。要するに二重基準である。

 

日本の恥部

 世界広しといえど、プライマリーバランスを問題視する国は何を隠そう我が国のみ。小泉政権時に竹中平蔵パソナ会長が提案し設置したものである。忘れてはいけないことは、高橋洋一氏が竹中氏にプライマリーバランスの話を持ち込んでいることだ。旧知の間柄のような両者は総括すべき対象である。  この期に及んで、財政再建とやたら主張する政治家は、政府債務の拡大で何が起きるか説明せよまさか、矢野財務次官のように抽象的な煽る言動に終始するのではあるまい。自分は緊縮財政派ではないとしながら、言動は緊縮財政になっている政治家は不勉強に過ぎる。
 財政再建に憑りつかれた政治家は、不幸な国民を生み出し続けている。