「経世済民」同好会  -HatenaBlog支部-

経済とはそもそも略語であり正しくは「経世済民」と言います。それは「世よを經をさめ、民たみを濟すくふ」つまり、民を救うことが含まれます。「経済」とは私たちが救われてこそなのです。 経済成長のために私たちが犠牲を払うことはないのです。そんなことを様々な角度から訴えていこうという有志による同好会です。記事は複数人がそれぞれ好きなように書くスタイルです。

経済同好会新聞 第344号 なぜ「中長期」なのか

なぜ「中長期」なのか

なぜ「中長期」なのか

なぜ「中長期」なのか

目先の利益は乞食の発想へ

 我が国の凋落の原因として挙げられることと言えば、「国家への投資」を蔑にしているところだろう。国家への投資は、そのまま国民への投資である。この数十年はどうか。短期成果主義の名の下、目先の利益を上げることに必死だ。政府がそのように振る舞えば、企業もそうせざるを得ない。
 例えば、教育や科学は長期的な展望が必要だ。これらは「育み」と継承が不可欠なため、短期で成果を求めることとは矛盾する。このような分野は多岐に渡り、水道や道路のようなインフラもそうである。昔の企業が中長期的に投資できたこともあって、我が国の繁栄があったことを考えると、見るべきところはやはり税制になる。
 企業が人材や設備に投資しやすい、つまり、中長期を見据えられる環境にするには、法人税率を高めに設定しておくことが肝要になる。企業は法人税を政府に持っていかれるくらいならばと、経費を拡大してきたのだ。経費は従業員の給料に含まれるため、賃金が上昇していく経済にとって好循環を生む構造だったのである。職人が職人足り得たのも、その技術の恩恵を受けて来たのも、中長期の投資があったからこそだ。このことから、法人税という税制がいかに重要であるか理解できよう。
 ところが、法人税率を下げてからというもの、労働者の所得が下がっていった。加えて、緊縮財政で公的部門の投資を減らした結果、国民の多くが生活の質を下げざるを得なくなったのだ。これらによって起きていることは、コストカットによる短期成果主義。コストカットは当然のことながら人件費の削減も含まれ、その反対で株主の配当が増える。構造改革が改悪であると断ずるのは、中長期の展望と展開を阻害し、国家の破壊に寄与するからである。貧困・格差拡大の原因にもなっているのだ。

 

消費税は給料削減に走らせる

 消費税が存在し、企業が利益を出すとしたらどうするか。固定費にかかる費用を削減する努力はするであろうが、それ以上に人件費の削減に目が向く。法人税率が低いことと相俟って、利益を守るために人件費を削減することになる。つまり、労働者の賃金と引き換えに利益を死守する形だ。消費税はこのように、企業に価格転嫁を人件費削減に強いる側面もあるのだ。したがって、消費者である労働者の賃金が低ければ、経済は良くなることはない。至極当然の結末である。
 この弊害により、お金のない国民が結婚もできず、結婚が贅沢品になる時代が到来している。出生数が激減したのも、若者が草食化したわけではなく、所得が低いからに他ならない。
 何度も言わなければならない。法人税減税は利益を追うことにメリットを見出すため、株主への配当金が増える。短期成果主義につながり、滅びへの道だ。その逆に、法人税増税は経費拡大の機会になり、労働者や設備投資にメリットを見出す。中長期の展望と展開につながるため、大多数である労働者(国民)が恩恵を受ける。
 そもそも、我が国は管理通貨制度であり、逆累進性のある消費税自体が不要だ。わざわざ労働者の賃下げ圧力になる消費税を残しておく必要はない。更に、保険税も消費者にとって逆累進性になり、人頭税としか機能していない。大問題だ。