「経世済民」同好会  -HatenaBlog支部-

経済とはそもそも略語であり正しくは「経世済民」と言います。それは「世よを經をさめ、民たみを濟すくふ」つまり、民を救うことが含まれます。「経済」とは私たちが救われてこそなのです。 経済成長のために私たちが犠牲を払うことはないのです。そんなことを様々な角度から訴えていこうという有志による同好会です。記事は複数人がそれぞれ好きなように書くスタイルです。

経済同好会新聞 第397号 「インフレの誤解」

インフレの誤解

インフレの誤解

状況を把握して言葉に惑わされない

 インフレ率を2%に達成する話は、経済を知る人であればよく聞くのではないか。以前の記事でも触れたことはあるが、改めて取り上げてみよう。まず、インフレはあくまで結果であり、目指すものではない。実体経済、特に我々の生活や社会が安定的であることを優先すべきであり、インフレ率を目標とするのは違う。例えば、消費税を減税、あるいは廃止すると実質賃金が増える。そうなると貯蓄も出来ない低所得者のような消費性向の高い層は恩恵を受けるため、政策としては正しい。これは基本中の基本であり、インフレ率とは無関係にやるべきだと誰しも理解できるだろう。
 このような基本は民間部門である「家計」の所得が増えることであり、企業にとっても需要が増えるため供給に力を入れることができる。この場合のインフレは企業が供給力で抑えることになるため、インフレ率は重要ではないが実体経済にはとっては良いことだ。この状態で推移した際、インフレ率は後でどうなっているかが分かるだけであって、ノルマのように目的化にすることは本末転倒ということになる。
 驚くべきことは、消費増税分がインフレ率に乗ってしまうところ。そのため、インフレ率を目標にすることは悪手である。特に今のように政治腐敗下である場合は。

 

目指すは好景気

 先ほども取り上げたように、インフレ率を目的化してはならない。実体経済を見るならば、誰しも景気の良さを実感しているかどうかが目安になるはずだ。インフレ率が2%に到達したものの、貧困が解消されていないとしたら慌てふためく事は容易に想像できるのだから。その上で政府の支出を絞るような愚を犯すに違いないのである。
 好景気を目指すということは、言葉や詭弁で誤魔化せないこともあって現実的であろう。国民は景気が良くなければ怒っていいし、政治家も経済学者も向き合わなければならない。我が国の長期停滞はあまりにも長すぎ、言葉に誤魔化され麻痺しているのではないだろうか。
 景気が良い時の特徴として、企業は労働者の賃金を上げ雇用を増やす。設備投資もするため供給力が増すのである。これは生産能力が強化されているに等しく、故に賃金の上昇と雇用を生むのだ。更に、需要側である消費者も使えるお金があることは、労働者である消費者の賃金が上昇している状態であることから理解できるだろう。
 この数十年の我が国では、この真逆のことが起きており、これはインフレ率で見ると状況を見誤ってしまう。どういうことか。好景気時は需要と供給能力は上がっていくものだが、両者は均衡していくためインフレは抑制される。経済が停滞している時は、需要も供給能力も削られていくため、これも均衡するのだ。インフレ率を見ているだけでは実態を把握できないのである。であるため、好景気を目指すことが望ましい。インフレ率を目標とすることは、物事の本質から遠ざかるという次第である。
 恐ろしいのはこのような実態を把握せず、供給能力を破壊してきたところだ。このツケは非常に大きく重たい。