経済同好会新聞 第442号 「日本経済衰退の原因」
日本経済衰退の原因
育みを否定したツケは現代に
(例)労働生産性が上がらないのは、労働者のスキルが弱いせいだ。そのために日本は衰退した。
このような言説を鵜呑みにする人はいるだろう。短期視点では新入社員のスキルはベテランより遠く及ば ないが、スキルは誰でも一朝一夕に身に付くものではないことを考えれば、スキルは中長期スパンで育む必 要があることは理解できるだろう。ベテランも大なり小なり紆余曲折を経験してきたのだから。
日本は衰退した。それは人材投資を怠ったためスキルが上がらない結果である。
先ほどの例を我が国の現状に置き換えてみるとこうなるが、因果が逆転していることが分かるだろう。産業の空洞化もこれである。日本人は勤勉であるとジョークでも扱われるほど、仕事に熱心な人が多い印象があるのではないか。労働者が怠惰になったわけではないことを裏打ちするものに、せっかくなので楽しみながら早坂隆氏の「世界の日本人ジョーク集」から知ってみよう。
イタリア人の幸福とは、愛人とパスタを食べながらサッカーを見ている時。
イギリス人の幸福とは、うまいブラックジョークが決まった時。
ドイツ人の幸福とは、計画通りに物事が運んだ時。
スペイン人の幸福とは、美味い物を食べてのんびり昼寝している時。
日本人の幸福とは、食事をさっさと終えて再び働き始めた時。
キャタクターをデフォルメするが如く、特徴が大いに出ていて笑える。それだけ印象になって表れているのだ。日本人は働き過ぎとの声も以前からあるほど。 本題に戻るが、因果関係が逆転すると、随分と印象も分析の仕方も変わる。分析の仕方を誤ると、人材投資をしない環境が継続されてしまうため、社会に悪い影響を及ぼし続ける。我が国はずっとこんなことをしており、経済の有識者からしてこれなのだ。
本末転倒を憂う
政府が内需の投資に力を入れなくなり、グローバル化へ舵取りした結果が我が国の現状だ。消費税増税にしろ、ことごとく内需を毀損することばかりである。税制を改悪することで労働者の賃金が上がらない構造になっていたり、その反対で国際資本家である株主が儲かるようになっていたり等、これで労働者のスキルが下がっていると寝言を言ったところで、そのように導いたは政府だ。政府の代弁者は冒頭の例を言い出すが、これは酷い居直りである。
このような本末転倒では、平気で因果を逆転させることも厭わないだろう。一切の苦言を受け付けず、案の定、問題が起きると後付で言い訳をして取り繕う。労働者のせいにして。政策の過ちを誰かのせいにするようになれば、こんなイージーな政治はない。付和雷同する政権擁護者もまとめて同罪である。
有権者もダメな政治家を当選させたばかりに、このような政治を招いている側面もある。カルトで集票したにしろ、この腐敗は日本国民全体が真正面から見なければならない問題だ。
ツェリ子様
#政府の赤字はみんなの黒字について