経済同好会新聞 第455号 「井の中の蛙大海を知らず」
井の中の蛙大海を知らず
葦の髄から天井を覗く(よしのずいからてんじょうをのぞく)
見聞を広めることなく、浅はかな知識で大きな問題を論じ判断する。これを「葦の髄から天井を覗く」と言い、昔からあることわざだ。このような者は横着する傾向にあり、功を焦ったり急いで軽率なことを言い出す。これを「弱馬道を急ぐ(よわうまみちを急ぐ)」と言う。
一度取った杵柄だけで自己を過信し、他者を見下す者。このような者には、いくら説き聞かせても効き目がない。このことわざは「牛に経文(うしにきょうもん)」と言う。
更に、大言壮語と流言飛語で自分を大きく見せる者。社会に出て色々な話を聞いたりする人達は、このような者を容易に見抜き警戒する。あるいは距離を取る。
ここまで述べてきたことは詭弁家に多く、都合が悪くなると一般人でもやりがちだ。ただし、罪悪感が残ることから、学習してやらないように努める人の方が多いだろう。ところが、我が国の政治家に平気で嘘をつく者がおり、ことわざに全て当てはまる複数の人物がいる。有権者は人を見る目を養った方が良いというのは、このような者達を要職につかせないためだ。人の上に立つには、それ相応な教養が必要なのは論をまたないだろう。
我が国の病理に「猿に烏帽子(さるにえぼし)」を有識者に据えるところ。意味は見かけだけで中身が伴わないこと。肩書きは立派であるが、内容に成熟したものがなく稚拙である。実態は政党の代弁者であったりするため害悪なのだ。肩書きの悪用に他ならない。金のためなら権力に靡く愚か者の知性のなさは、学問とはまた別のところに問題がある。
備えあれば憂いなし
車で旅行に行った際、道中でガソリンが心許なくなった時には迷わず給油しに行くことが肝要だ。ぎりぎりまで粘り、ガソリンスタンドに辿り着けなかったため、JASのお世話になって余計な出費をしてしまうことは避けたい。
我が国の政府は備えは後手後手。むしろ常に財政規律でぎりぎりな政治をやるため、大事になってから余計な出費をする。これを税負担で国民にツケ回し。これが政治のテンプレートのように出来上がっているのだから恐ろしい。
このような悪影響は国民生活の毀損、企業の弱体化につながっている。備えあれば国民生活はスムーズになり、自然税収も増えるが、一向にこれをやろうとしない。政治家も財務省も日本の没落に貢献している自覚がないのではないか。経団連、経済同友会や連合のトップも同様だ。社会の見聞なく、同じところで同じような人間同士でいると、井の中の蛙状態になる。ボトムアップの発想にならないのだ。
このような姿勢でいると、常に無駄の削減やら安価で外国から買う等のように、国家を育てる視点がなくなる。これが続くと「今さえ凌げれば良し」となり、退嬰的な発想に依存していくことになる。ここが起点となっているため、「イノベーションがー!」となり、夢物語に縋るようになるのだ。備えなき国家は将来への展望もなく、行き当たりばったりという次第。表面だけは煌びやかに取り繕うだけで、中身はスカスカ。まるで、偉いトップ連中は「うさぎと亀」のうさぎのようだ。外国に追い抜かれてもまだ夢の中で過去の幻影を追いかけている。いい加減に目を覚ませ!この愚か者どもめ。