「経世済民」同好会  -HatenaBlog支部-

経済とはそもそも略語であり正しくは「経世済民」と言います。それは「世よを經をさめ、民たみを濟すくふ」つまり、民を救うことが含まれます。「経済」とは私たちが救われてこそなのです。 経済成長のために私たちが犠牲を払うことはないのです。そんなことを様々な角度から訴えていこうという有志による同好会です。記事は複数人がそれぞれ好きなように書くスタイルです。

経済同好会新聞 第464号 「自省できない国日本」

自省できない国日本

自省できない国日本

自省できない国日本

他人事・極端は国を滅ぼす

 目先の利益確保のみに力を入れれば「将来の育み」が毀損される。短期成果主義が危険なのは、中長期の視点を蔑にするところ。ましてや、人間は十人十色。中島義道曰く、

 

 この世で評価される能力(学力・判断力・創造力・体力)の個人差はおそるべきものがあり、さらに個々人にはどうしようもない運・不運がつきまといます。しかも理不尽なことに、この現実社会はこうしたこと一切に目をつむって、結果だけから人を評価し判断するのです。

 

 自己責任論や努力不足は十人十色を理解していない者が多用する。現実との整合を取らずに「自分の知識のみ」で考察と判定をやり出すのだから、これほど容易く迷惑なことはない。このような愚者に対し、ベンジャミン・フランクリンはこう述べている。

 

 愚か者の第一段階は、自分をよりよく見せようとする事である。第二段階は、それを他人にしゃべることである。最終段階は、他人の考えを馬鹿にすることである。

 

 傲慢な者は承認欲求が強く、常に「相手より優位に立つ」ことを試みる。このような者達が自己責任や努力不足という言葉を用い、言論の暴力をふるう。自らが批判に晒されれば、悲劇のヒロインを気取ったり、逆切れしたりと持論を撤回することなく反省もない。太宰治曰く、

 

 わかい頃は誰しもそうなんだが、君は、自分ではずいぶん手ひどい事を他人に言っていながら、自分が何か一言で他人から言われると飛び上がって騒ぎたてる。君が他人から言われて手痛いように、他人だって君にずけずけ言われて、どんな手痛いか、君はそんな事は思ってもみないのですからね。

 

 自ら顧みることをしない者は若年層であれ誰であれ、モラルの面で逸脱することが多くなり常態化する。このような者をメディアが有り難がり、世論誘導に利用してくるのだから子狡いと言うべきか、心底乱れていると言うべきか。

 

本末転倒

 株金は、細く長く利殖を得ることを楽しまねばならぬ。ところが、わが国の株主にはさような観念がさらにない。はなはだしいのになると、借金までしても、株主になる。そして、一時の僥倖(ぎょうこう)によって利益を得ようとあせる。つまり、本当の株主ではない。これではまるで相場師と少しも違わない。

 

 こう述べたのは高橋是清だ。この数十年に至っては、大手企業は株主至上主義に染まり、労働者より株主に分配するほど落ちぶれた。物言う株主は労働者の生活等考えるわけもなく、企業に利益を出させるため低賃金で労働者を雇用させるよう勧めることまでやる。マイケル・ポーター曰く、

 

 多くのビジネスリーダーは投資家や株主のためにしなければならないことばかりを考え、ときとして「会社が成功するために必要なことは何か」という大局を見失っています。

 

 日本経済の凋落、この原因の一つにこれが深く関わっている。

 

 


 

鈴木宣弘様
誰が日本の農業を破壊したのか