経済同好会新聞 第479号 「お金の貧困、心の貧困」
お金の貧困、心の貧困
偽善者は結果を出さず口先だけ
SDGsでは貧困をなくすることをうたうが、実現される気配がない。ワーキングプアが増え、こども食堂も激増している中、減税どころか増税の話をしているわが国。経済の足枷になっている消費税や社会保険料等には触れず、財政規律だ何だと足を引っ張る政治家や学者。
このような政治家の視点に立てば、国家財政を何とかしつつ、貧困も解消する方法を必死になって模索するものだろう。ところが、何十年経とうと国家財政のことばかり。つまり、財政難は将来世代のツケ、こっちを解決しなければ破綻すると言いたいのだろう。実に不思議なのは、政治家は情報が集まりやすい立場でいながら、管理通貨制度については完全に無視するところだ。MMT(現代貨幣理論)以前に、ケインズを知らないはずがない。管理通貨制度はケインズが生前に考案したもので、わが国が既に採用している。
更に、池田勇人も高橋是清も知らないとは言わせない。頑なに財政規律を方便にし、経済を数十年も停滞させているこのザマは故意としか言いようがない。無論、この故意ははたから見れば、「無知」のようになって見えるだろう。否、グローバル化や国際資本家が優位に立つような制度設計を意図的にやってきた結果なのだ。貧困の増加は必然だったのであり、国民はいわゆる「国の借金」が原因だと認識させられ、合成の誤謬に陥らされていると言うべきか。
貧困は経済のみならず
経済的貧困は政策次第で回避しようはあるが、心の貧困は難しい。エーリッヒ・フロム曰く、
貧困もある限度を超えると、与えることができなくなる。貧困は人を卑屈にするが、それは貧困生活がつらいからだけでなく、与える喜びが奪われるからでもある。
アンドレ・ジッド曰く、
貧困は、人間から奴隷を作り出す。食べるために彼は、何の喜びも感じられない仕事を受け入れるのである。
ここに潜む貧困は、心の貧困だ。経済的貧困は心の貧困を生む。ここから見えてくることは、将来不安を抱える者は心の貧困に陥りやすくなるところ。お金持ちでも、金の亡者に成り下がった者であれば、お金の喪失から将来不安を常に抱えることになり、これもまた心の貧困を生む。儲けることが至上になり、他者を蹴落としてまでやってしまう者も、心が満たされないからである。モンテーニュ曰く、
エピクロスは、富むことは厄介をなくすことではなく、別の厄介と取り換えることだ、と言った。実際、吝嗇を生むのは貧困ではなくて、むしろ富裕である。
このように、経済的貧困も心の貧困も解決した方が良い。この処方箋は教養をしっかりと身に着けることになるだろう。モンテーニュ曰く、
心は正しい目標を欠くと、偽りの目標に、はけ口を向ける。
心の貧しい行動的な者は厄介だ。金儲けのためなら他人の命すら顧みなくなるほど精神に異常を来し、原理原則を都合良く無視する。外面は善人ぶり、やってることは悪人だ。経済・心の貧困は馬鹿にならない。
みど。様
"研究費が減っている"の誤解(図)