大阪市廃止、明日投票
「大阪市」ブランドを喪失するか否か
都構想で大阪市は「都」になるわけではなく、現在の政令指定都市以下の特別区に格下げされる(下図)。同様に権限も自治もそれだけ失われるため、住民サービスは低下する。
そして、「大阪市」という名前を喪失することを意味し、心にぽっかり穴が開いた気持ちになる人も少なくないだろう。大阪市に住んでいない人でも、もし、自分の生まれ育った故郷の名前が変わってしまうことを想えば、賛成票に投じる気にはなれないのではなかろうか。住民サービスが低下するわ、使い慣れた身近にあった名称が変わるわで、踏んだり蹴ったりだ。故に、事実は正確に知っておく必要がある。
都構想の説明も不十分なため、要領を得ていない市民は7割もいることは厳然たる事実であり、その上でもうしないと言い放った二度目となる住民投票をすることは、強制的に彼らの土俵の上に引っ張り出され、立たされるる行為だ。コロナ禍の最中というオマケつきだ。
問いただすべき
吉村府知事をはじめ、維新はなぜ「大阪市廃止・特別区設置」と正式名称を使って来なかったのか。なぜ「都構想」と言い続けてきたのか。名称からは大阪市廃止を想像も出来ず、どちらかと言えば東京のようになると思った人も多いだろう。肝心要の部分を言って来なかったのはなぜなのか問うべきだ。
松井一郎市長は、大阪市選挙管理委員会が投票用紙に「大阪市を廃止し特別区を設置することについて」と明記したことに対し、「大阪市を廃止ではなく、大阪市役所を廃止とできないか」と注文をつけていたという。
仮に大阪市役所廃止に変更したところで、大阪市廃止の目的が変わるわけではなく、むしろ隠そうとしていた意図が丸見えになっているではないか。よって、都構想そのものが隠れ蓑であり、他の目的を達成させたいことが必然的に浮かび上がってくるのだ。
隠す必要がないならば、正々堂々と大阪市廃止・特別区設置と言えば済む話だ。なぜしない?
この不誠実さは政治家としては致命的であり、明日投票という段でも未だ正式名称を使っていない。押し通す気なのだ。通ってしまえばしめたもの、後は適当に誤魔化し、問題が起きれば仮想敵を作り、批判の矛先をそっちに向けておけば良い。彼らが既にやってきたパターンだ。
大阪市民は騙されてはならない。大阪府知事も市長も維新も、正々堂々として来なかった。どういうことか説明させるべきだ。説明がなければ、この住民投票の意味が見い出せるはずがないではないか。都構想自体、根本から見直す対象になることは必然だろう。
重ねて問いたい。なぜ、大阪市廃止・特別区設置と言わずに都構想と言って来たのかを。