三流国家の振る舞い
国民を守らなくなった政治
主流派経済学の誤った学問によって日本は衰退と貧困を招いている。当新聞の前号でも述べたが、この学問は世界金融危機のような事態は一切考慮されておらず、彼ら学者達はそれが起きない前提で理論を構築していたのだ。フランスの経済学者トマ・ピケティはこの理論を揶揄しているが、当然のことだ。
この学問が竹中平蔵パソナ会長をはじめとする、構造改革者が跋扈することになり、余計に貧困格差が開いてしまった。恐ろしいのは、主流派経済学が停滞と衰退の原因であることを知らず、まだまだ努力が足りないと言い、更なる構造改革を推し進める。このようなことを延々と繰り返し、今日に至ってもまだやめようとしない。
主流派経済学者は未だ改める様子がないことから、オーストラリアの経済学者ジョン・クイギンは「ゾンビ経済学」という書籍を出し痛烈に批判している。
特大ブーメランが刺さる結果に
ある政治家は業績が振るわない企業を指してゾンビ企業と言い放ったが、ゾンビ経済学を採用している日本の政治家がそれを言うのか。政策の誤りで疲弊させておいて、これでは逆切れではないか。こんな愚かな漫画のような世界が現実に起きている。
主流派経済学の悪癖は、世間知らずであること。これに尽きるだろう。世界中に人間の営みがあり、不確実性に溢れている。日本はそれに加え、災害大国であること、隣国の脅威で安全が脅かされてしまうこともある。昨年来のコロナにしろ、不確実性だらけだ。
均衡財政(財政規律)は主流派経済学に基づいているが、ここに一切の不確実性は加味されていない。人が死のうと財政規律。災害が来ても財政規律。疫病が来ようと財政規律。財務官僚の出世条件も財政規律。 これでは科学や教育の凋落、出生数の激減、賃金の低下もむべなるかな。
擁護できない日本の実態
日本を取り巻く状況は蓋を開けば、構造改革で労働者を低賃金で雇用し株主を優遇するに至り、貧困化が加速する。
女性活躍社会と言いながら、体の良い低賃金労働者の確保という次第。加えて、移民受け入れもこの延長線上である。
規制緩和によって民営化することも、財政規律と大いに関係している。これは民営化することによって、国費を減らすためなのだ。
民営化のデメリットは永続的な安定したサービスを受けられなくなること。安全保障の要である水道や農業まで触手を伸ばしており、わざわざ自縄自縛を推進するのが我が国なのだ。外国では慌てて規制を強化したり、国営化に戻す事態になっている。驚くほど学ばない。例えるなら、失敗した事例をどんどん取り入れているのが我が国。
ゾンビ経済学と竹中平蔵パソナ会長のような構造改革者によって、日本はひどく痛めつけられているのである。消費税もゾンビ経済学あってのもの。政治家は国民を守ることを忘れたのだろうか。