経済同好会新聞 第330号 「黒字と赤字の関係」
黒字と赤字の関係
不況時に減税するわけとは
前々号、前号に引き続き、ゴドリーのモデルをおさらいしてみよう。
政府が財政赤字(黒字)となる時、民間部門と海外部門の収支の合算は必ず黒字(赤字)になる。
これは上記の図「三部門の会計等式」の通りだ。政府、民間部門と海外部門のそれぞれの収支を足すと必ず0になる。この三部門は全て黒字にはならないことを示しており、その逆の全て赤字にもならない。どこかが黒字であれば、必ずどこかが赤字なのだ。その逆も然りであり、故に等式として成立している。これは好景気であろうと不景気であろうと、上図の三部門は足すと必ず0になるのだ。
上図の三部門の間で、お金は黒字と赤字が移動しており、例えば、政府が予算を執行し支出すれば、政府は赤字になるが、民間部門は政府が支出した分、黒字になる。逆に、政府が民間部門から税金を徴収すると、政府は徴収した分は黒字になり、民間部門は赤字になる。民間部門に限った話をすれば、あなたがコンビニでジュースや弁当を買うと、あなたの財布はその分は赤字になるが、コンビニは黒字になる。したがって、民間部門では常にお金は循環する。一方で政府は税金を回収すれば、民間部門のお金は政府に移動するため、民間部門で循環していたお金が減る。つまり、不景気の際は民間部門でお金を循環させておく必要があるため、減税措置や免税をするのだ。我が国は有事であってもこれら措置をしておらず、経済音痴ぶりを発揮している。経済音痴は簡単に人を路頭に迷わせ、我が国はこの数十年でそれを証明してきた。
経済の停滞や不況時には、政府が赤字であることが好ましい。これまで説明した通り、政府の赤字は民間部門の黒字になるためだ。財政出動と減税措置で民間部門を下支えするのである。
我が国は管理通貨制度。上図の等式からは、政府が赤字になることは怖いことではない。むしろ、経済全体のバランスを取るためには、政府は赤字を惜しんではならないのである。