見えない失業
見えない貧困
新型コロナウイルスの感染拡大で、仕事が大幅に減り、経済的に困窮するパート・アルバイト女性が急増している。野村総合研究所の推計によると、仕事が5割以上減り、休業手当も受け取っていない「実質的失業者」は2020年12月で90万人に及ぶ。国や自治体の支援からこぼれ落ち、孤立している実態があり、早急な支援体制が必要だ。【毎日新聞経済プレミア・渡辺精一】
「気がつくと、所持金は103円でした。4日の仕事始めに出勤する電車賃もなくなっていました」。短大卒業後、非正規雇用で働いてきた女性(42)は突然、自分とは関係ないと思っていた「リアルな貧困」に直面した。給料が安くても仕事を絶やさずにやってきた。でも40代になるとバイトの面接にすらなかなか呼ばれなくなってしまった。家賃の引き落とし日が迫るのが怖くて仕方がなくなった。「真面目に生きていきたいだけです。どうしてこんなことになったのでしょう?」。女性に声をかけると、こう聞き返してきた。【木許はるみ/統合デジタル取材センター】
一つ目は見えない失業についてだが、二つ目は見えない貧困についてだ。両者の共通点はお金に困り、生活が困難になっているところ。先行きの見えない不安に悩まされ、過剰なストレスに晒されたり、そのために自殺する人や精神疾患を患う人もいる。
グラフは所得金額階級別世帯数の相対度数分布だが、2019年の調査では中央値が437万円。1995年の中央値は545万円とあり、この頃と比較すると108万円も下落している。
コロナ禍以前より経済は停滞と衰退を繰り返しており、原因は財政規律が目的化しているため、国民の貧困化が止まらないのだ。
よく、職を選ばなければ仕事はあると言うが、そのほとんどは非正規雇用の派遣、アルバイトやパートの仕事くらいだ。ワーキングプアはこうや
って量産されていく。このコロナ禍で真っ先にリストラされるのは、非正規雇用。元々生活に余裕がなく、仕事がなくなれば死活問題であり、安い給与でダブルワークしている人もいる。正社員であろうと副業する人もおり、見えない失業と貧困は努力不足ではなく、政府による人災なのだ。