経済同好会新聞 第279号 「肥える株主 弱る労働者」
肥える株主 弱る労働者
貧困化はなるべくしてなった
上グラフで飛びぬけて高い項目がある。配当金だ。これは企業が利益を株主へ配当したものになるが、一方で労働者はどうだろう。項目は平均従業員給与がそうであるが、ほぼ水平に推移している。つまり、株主への配当金は飛躍的に上がっているが、労働者への給与は上がっていない。設備投資にしろ、低迷が続いていることが見てとれる。
以前、当新聞でも触れてきたが、このような現実が起こるのは、法人税率の低さが原因だ。復習してみよう。
・配当金は利益から支払われる
・賃金は経費から支払われる
法人税は利益に対して課税される。この法人税率が高いと企業にとって損になるため、節税対策として人件費や設備投資等の経費に充てる。国家にとって法人税率を高くする意味は、労働者への賃金上昇と設備投資を促すためのものなのだ。では、税率が低いとどうなるかと言えば、グラフの通り。つまり、株主は肥え、労働者が痩せる。
こんなことを数十年単位でやってきたため、当然のことながら貧困化が加速していった。その穴埋めに女性労働者に目をつけ、まだ足りず外国人労働者。そして高齢者にまで手をつけはじめたのだ。穴埋めとは低賃金で労働してくれる人達を指す。
法人税率の低さは賃金下落のみならず、設備投資で生産性を上げることがないため、人海戦術になっているではないか。まるで発想が以前の中国のようである。これは需要側である消費者の貧困化と密接に関係しており、需要刺激策を講じて来なかった緊縮財政のツケである。
法人税率の低さは、経済停滞と無関係ではないのだ。