経済同好会新聞 第396号 「構造改革は悪だった」
構造改革は悪だった
後世まで言い伝える必要のあること
我が国はバブル崩壊(1991年3月~1993年10月)を経ているが、実は1996年頃まで経済成長していた。好景気だった頃、世界で成功モデルと言われた日本は、人材投資、設備投資が盛んに行われていた。企業が赤字主体ということは、常に未来に需要が見えている状態であり、消費者も購買力があったと言えるのだ。この時の国内総生産(GDP)こそ参考にすべきであり、我が国の企業、家計、政府や海外(貿易)はどのような状態であったかを分析する必要がある。
かいつまんで言えば、経済成長していた頃の我が国の政府はきちんと支出していた。同時に企業も人材・設備に投資をしていた。賃金も上昇傾向であったし、失業率も低かった。ところが…
構造改革がはじまって以降、企業は黒字主体になっていったのである。これの意味するところは、人材・設備投資をしていない(出来ていない)ということ。企業が黒字になった分、政府は当然のことながら赤字主体となる。つまり、企業がお金を使わない黒字主体となれば、政府は赤字主体となって市場にお金を充足させてやらねばならなくなる(※借金返済に追われる企業は黒字ではない)。これが構造改革によって現在に至るまで常態化している。前号の記事とつながっていることにお気付きだろうか。
構造改革は家計を赤字にしてきた
よく聞かれるようになった言葉に「政府の赤字は民間の黒字」がある。当新聞でも説明してきたが、改めて現況を踏まえて論考しよう。まず、民間部門は企業と家計の2つあること。そして政府部門と海外部門の4つの主要な部門がある。ここは漏らさず把握してもらいたい。
前述しているが、好景気の時は政府も企業も支出していた。では、この数十年の我が国の長期停滞ではどうだろうか?政府は赤字主体であるが、企業は黒字主体でずっと来ている。家計は黒字寄りではあるが全く元気がない。つまり、企業が黒字主体になる事で、労働者へ賃金として分配(投資)せず、家計の黒字が減 っているのだ。事実、賃金が上昇しないことは実際に多くが経験しているだろう。
ここで言えることは、企業が赤字主体となる政策に転換することだ。構造改革によって企業は黒字主体となり、家計が貧しくなっていったのだから。つまり、構造改革は税制改革も含めて政策として大失敗であること。むしろ、数十年単位で長期停滞していることからも意図的なものを感じる。なぜならば、構造改革による規制緩和で労働環境を悪化させても放置されているからだ。税制も法人税率の低さから内部留保を生み出し、労働者への分配がなされない仕組みになっている。これは前号も含めて読んでいただきたい。
前述しているが、経済成長をしている時は、企業は赤字主体となる。黒字主体が常態化することこそ異常なのだ。こうなったのも構造改革という政策の誤りによって長期停滞に陥っていると見なさなければならず、いつまで経っても労働者は報われない。やれ民営化だ、株をやれだのと本末転倒を地で行くようになっているではないか。言い換えれば、労働者の低賃金化により上場企業等は黒字化しているということだ。これは構造改革による弊害であり、今すぐにでも元の構造に戻すべきなのだ。数十年も経って遅すぎるくらいだ。