経済同好会新聞 第407号 「賃金下落も負担増」
賃金下落も負担増
異常な経済観を持った国ニッポン
何度も繰り返し述べるが、安定財源とは徴税する側の理論だ。国民は高所得者から低所得者までおり、困窮者もいる。景気が変動することは常であると知っていれば、安定財源を求めることはそれだけで大きな矛盾をはらむが、それでも安定財源として消費税を存在させておくことは応能負担の原則に反する。消費税は景気を自動調整する機能もない税制であるところも、これを理解していない政治家や財務官僚やエリートがいたとするならば、教養の足りなさを指摘せねばならないだろう。加えて、消費税は社会保障費のために必要だとするところも、応能負担の原則から更に乖離する。弱者を救済するために弱者にも消費税の負担をさせているのだから。
我が国は消費税に対して何重にも余計な観念をペタペタとこれでもかと貼っており、消費税に対する価値観を肥大化させている。これと似た事象は、嘘つきが嘘の上に更に嘘を重ねていく状況と似ている。故に、人間がやることは一度でも嘘に基づいた前提で論を展開していくと、現実と合わなくなってくると辻褄を合わせるかのように嘘を編み出していくのだ。消費税はまさにこれなのである。ケインズ曰く、
経済学は論理学の一分野であり、思考の一方法です。経済学は本質的にモラル・サイエンスであって自然科学ではありません。
応能負担の原則を知らず、景気の調整機能がない消費税を存続させておくことは、経済の知識というよりも道徳的な面で大きく反しているのである。
むしり取る発想
昔は専業主婦が多くいた。現在では夫婦共働きでなければ家を購入することもままならなくなり、高価な物も買えなくなっている消費者は多い。企業も労働者も潤えば、法人税と所得税に課税することで税収は上がる。しかし、消費税という課税は労働者の賃金下落に貢献し、「富むものが富む」ようにした。無論、それが目的なのであって、1949年にGHQはシャウプ使節団を送ってきたことと無関係ではない。
シャウプ使節団は日本の税制に干渉することを行い、以降はシャウプ勧告(後の消費税)に沿うものになっていく。日本政府は当初、それらに対して他国でも導入事例がないこと、徴税当局が準備が出来なかったことや企業の負担を考慮した上で廃案としている。翌年1950年にもシャウプ使節団が来日し同様の提案を行うも、各界から猛烈な反対を受け廃止している。
消費税は直間比率の是正等と言い導入されたが、その前にシャウプ勧告があったことを忘れてはならない。先ほども述べたが、消費税は応能負担の原則に反し、景気の調整機能もない。つまり、消費税の導入と税率の引き上げには本音と建前があり、国民は建前ばかり信じ込まされてきたのである。本音の方を知れば、猛反対されることを理解しているからだ。
この時代になり、嘘で塗り固められた消費税を是とすることで、労働者は常に弱い立場になってしまった。官民ともにブラック化が増えたのも、経済を阻害する消費税は全く無関係ではない。むしろ、阻害要因だ。もはや消費税の存続は信念化しているのだ。ニーチェ曰く、
信念は、真実にとって嘘よりも危険な敵である。