経済同好会新聞 第417号 「様変わりした労働環境」
様変わりした労働環境
最低賃金より所得を上昇させよ
小泉政権時に竹中平蔵氏が旗振りをして構造改革を行ってからというもの、「非正規公務員」という言葉が当たり前になってしまった。それ以前は公務員とは正規が当たり前であり、企業で働く労働者も正社員になることが当たり前だった。この数十年の平均年収よりも構造改革前の方が相当高かったことから、小泉政権が日本型経営システムをぶっ壊したと言っても過言ではない。以降の自民党は構造改革路線を継承しており、日本の悪化が止まらない。
さて、最低賃金に注目が集まる中、小泉・竹中構造改革以前の我が国の最低賃金は、今よりもはるかに低かったが、平均年収は今よりもはるかに高かったのだ。ワーキングプアという言葉もないほど、多くの国民は所得を得られていたのである。
ここから見えてくるのは、最低賃金とワーキングプアの問題は全く別のところにあるということ。既に述べているが、問題は構造改革によるものだ。所得が増えない構造に変えられてしまったため、両親共働きが増えたり、高齢者も働かないと生きていけない層もいる。これは相当に大きな問題だ。しかし、自民公明与党はなんら手を打って来なかった。むしろ、背後にいる政商や支持団体に忖度した政治を行うため、悪化しているのだ。未だに減税すらせず、強制的徴税は確固たるものがある。
税金も労力も負担増
非正規社員や非正規公務員が増えた我が国。それ以前は最低賃金は低くけれど、それに依存する人は極端に少なかった。このことからも、最低賃金が上がっても、これで年収が上がったとすることは望ましくない。みんなが正社員であったり、正規公務員として働けるようになっていることが望ましく、かつ、年収が上がっていくことの方が重要だからだ。昔で言えば、アルバイトと正社員との開きがある言えば分かりやすいだろうか。
税金の負担も労働者の低賃金化は構造改革によるものであり、これで誰が得をしてきたかと言えば、国際資本家である株主だ。これも何度も述べて来たが、低すぎる法人税率の影響だ。これによって配当金が飛躍的に増えた一方で、損をしたのは労働者なのだ。上場企業は物言う株主に忖度し、その上場企業に忖度する自民公明与党という具合である。
正社員が非正規社員に置き換えられたり、正規公務員が非正規公務員に置き替えられたりする現象は、一人当たりの労力が非常に増えたことを意味する。大阪のコロナ対策を見れば一目瞭然であろう。この数十年でも、早く出社しないと仕事が終わらない、公務員でも相当な残業をしなければ休めないといった声も聞かれる。恐ろしいところは、そうまでしても仕事が片付かず、むしろ仕事をどんどん増やされ、結局は休めていない事実もある。とんでもない国になってしまったものだ。
懸念材料は、非正規が常態化したことで、正規の給料がそっちに寄って行くこと。つまり、平均年収はどんどん下がっていくことに警戒しなければならない。竹中平蔵は公務員や正社員を既得権益だと叩いたことからも警戒するに余りある。
政治家も国民も認識を変えず、このままを是認すれば貧困層は増加し、更なる格差拡大は免れない。シャルル・ド・ゴール曰く、
政治とはあまりにも重大な事柄なので、政治家に任せておくことはできない