経済同好会新聞 第461号 「日本経済停滞と税負担」
日本経済停滞と税負担
悪政はとどまる所を知らない
災害が起きても増税、コロナ禍到来でも物価高でも減税しない。西郷隆盛曰く、
われ外出するとき、路上多くの貧人に逢うが、彼らはみなあくせくして政府に税金を納めている。われは却って為すことなく安泰に生活している。これは実に痛心の至りである。
我が国の政治家は、このように述べられる者はいるのだろうか。アメリカの俳優、故ポール・ニューマンはこう述べている。
私のような金持ちから税金を取らないのは馬鹿げている。
格差が広がってきたことも手伝ってか、長者番付の発表が廃止されたのは2005年。実質賃金が上がらずに衰退していく中で、億万長者が増えていた事実も指摘されており、これは関心をそらすためだとされている。つまり、我が国は資本家優遇がなされてきた証左なのだ。その反対側で庶民の負担率は増え続けてきた。西郷隆盛曰く、
租税を薄くして民を裕(ゆたか)にするは、即ち國力を養成する也。故に國家多端(たたん)にして財用の足らざるを苦むとも、租税の定制を確守し、上を損じて下を虐(しい)たげぬもの也
これは「税金を安くすることで庶民が豊かになり国力がつく。国費がかさみ予算不足になろうと税率を上げず、上に損をさせても下をいじめてはならない。」という意味だ。まさに累進課税のこと。
我が国の恐ろしさは、いかようにも名目をつけて税を負担させようと試みてくるところ。エドマンド・バーク曰く、
課税というのは、容易な仕事である。どんな立案者でもあらたな負担を企画できるし、どんな不器用者でも古いものに付け足すことが可能だ。
権力が徴税すると決めたからといい、官僚はそれに従って弱者からも徴税することに考えを巡らせるようになってはならない。人間がどのような生活を営んでいるか、十人十色を理解した上で決定していかなければ、それは独善的になるというもの。ウインストン・チャーチル曰く、
繁栄のための重税をかける国家は、バケツの中に入って取っ手を持ち、バケツごと自分を持ち上げようとしている人と変わらないではないか
我が国の数十年に渡る経済停滞は、社会保険料等含めた税負担によるところが大きい。アントン・チェーホフ曰く、
幸福な人間が良い気分でいられるのは、不幸な人々が自己の重荷を黙々と担ってくれているからに過ぎない。
頭デッカチになるな。人間の営みなくして国家は成り立たない。塩梅良く政治せよ。
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経世済民同好会
問題は庶民にとっての黒字なのか、一握りの人だけの黒字なのか