改革という利益誘導
都構想の筋書きを描いた者は誰だ
「石橋を叩いて渡る」、ことわざの一つだ。先人がこつこつと築き上げてきた土台を構造改革と称して破壊していったのが、平成時代と現在の令和。何かと言えば改革だ、成果が出なければもっと改革だとのたまう。成果が出ないものは百年やっても出ない。むしろ、破壊が進んでしまうのは、国民のことを一切考慮をせず、私服を肥やし続けているからだ。
改革者は自己利益最大化が本音であり、改革は建前なのだ。竹中平蔵パソナ会長がやって来た改革とは、竹中氏が利益を得るためのものであることは、政治家の間でも専門家や一般人の間でも知られている。
建前では立派(そうなこと)な言説で説得し、本音は金儲け。そして、とにかく行動が早いのだ。政治家が「石橋を叩いて渡る」のであれば、改革なんてものは愚の骨頂と一喝し、追放するところだ。竹中氏がやらかして来たことをなぜ放置しておけるのか。彼をはじめ、彼を重用する政治家を調べれば真っ黒だろう。そのため竹中氏を切れないのだ。どころか、抱え込む始末。
(当新聞第129号に関連記事)
一方で大阪都構想も改革だ。橋下元大阪府知事は大阪維新の創設者、松井市長は大阪維新の会代表、吉村府知事は代表代行。
維新の公約を書いたのは竹中平蔵氏だが、この時点で相当にきな臭い。いや、真っ黒だろう。都構想の筋書きは彼が描いたものであって、それに沿って動いているのが大阪府知事であり市長だろう。これは何も荒唐無稽な話ではなく、かつての小泉政権時でも竹中が改革の指揮をしていたことから明らかだ。
市民貧困化
都構想になると大阪市民の税収の多くは大阪府に一旦吸い上げられるため、特別区の自前(自主財源)の税収だけでは自治体の運営ができません。
このため、大阪府から財政調整交付金というお金を各特別区は受け取ることになります。しかし、現在、財政調整交付金として特別区に渡せる税は3種類(法人市町村税、固定資産税、特別土地保有税)に限られています。
(今さら聞けない「大阪都構想」| 特別区と総合区)
財政調整制度とは大阪府が特別区に交付する、地方交付金のようなものだ。都構想になれば大阪府が予算の権限を一手に受けるため、特別区の立場が弱くなることは明らかだろう。現在のように適切に交付されるとは限らないのだ。そうなると、市民は節約に迫られるため、事実上の貧困化だ。今まで出来ていた何かを犠牲にする必要が出てくるのだ。
こんなことをするより先に考える必要なことは、政府の緊縮財政をやめさせること。そして、地方交付金の増額を要求することだ。なぜ従来通りのことが出来なくなったのかは、30年もの緊縮財政と構造改革による悪政が原因だ。政府がお金をけちれば、どこかで齟齬が生じ、誰かが犠牲になったり衰退してきたのがこれまでの失われた23年。国民は貧困化し、それに伴い企業業績も悪化。当然過ぎるくらい当然のことだ。
消費増税の歴史は自殺者増加の歴史であり、このコロナ禍ですらやめようとしない。更に改革者の提言通りに改革しようとしている。
目先の困窮者を助けずして、何が改革であろうか。
大阪の病院が先日なくな
ったが、それでも万博やら都構想に今お金を費やすのか。許しがたい暴挙だ。