経済同好会新聞 第364号 「土台の凹凸をなくせ」
土台の凹凸をなくせ
政府は経済を常に注視すべき理由
災害やコロナのような疫病等のように、経済にダメージを与えてしまう事象については、企業も労働者も脆弱だ。これら経済の事象を道路に置き換えてみると、道路の凹凸が出来てしまう状態である。この道路に車、バイクや自転車で走行することを考えると、上手く立ち回れる者のみがダメージを回避できる。道路の安定は安全保障に直結しており、事故や怪我の確率が高まってしまうことは誰しも想像できるだろう。この確率を下げることは、道路の凹凸を平らにしておくことが肝要であることも誰しも理解している。道路を平らにしておくことは土台であり、政府は経済という土台を常に注視しておくべき理由がここにある。
ところが、ダメージを受けてしまった人々を自己責任や努力不足等と批判する人達がいる。道路の凹凸を平らにしろと政府に要求すると、乞食だなんだと誹謗中傷を繰り返されてしまうのが我が国の風潮なのだ。人間が全て同じ環境で同じ能力を有しているのであれば、百歩譲ってその理屈は正当性を持つかもしれないが、人間は個々人によって能力の差は必ずあるのだ。人間はロボットにあらず。
経済の凹凸を平らにする方法が、自動安定化装置だ。弱者には税の免除、低所得層には減税され、所得が高くなるに連れて課税率が高くなる累進課税が凹凸を平らにするのである。消費税にはそれがないため、減税と言わずそのまま廃止すべきだ。
凹凸は作られている
我が国には欠陥政策が多い。例えば、プライマリーバランス黒字化目標は経済を毀損する指標であり、即刻破棄すべきだ。消費税に然り、法人税率の低さもそうである。自動安定化装置が働かないような構造に改革されているため、凹凸は常に出来上がっているのである。そして、非正規雇用が多くなる構造もそうだ。これは意図的でなければ数年で改善されるはずだが、数十年経っても改善されてこなかったのである。政治家や官僚が政策の誤りを認められないのではなく、意図してそのままにしてあると見做すべきなのだ。なぜならば、このような社会構造で得する国際投資家に忖度する経団連が、政治家に圧力をかけているからに他ならない(関連:当新聞第360号)。配当金が飛躍的に増加したことからも容易に読み取れるのだから、あまりにも不自然だ。
自動安定化装置である累進課税を破壊し、経済の土台を揺るがすようなことを二十一世紀にもなってやってのけているのだ。良いものを取り入れてきた我が国にあるまじき行為ではないか。
税制は自動安定化装置が組み込まれている累進課税、弱者には税を頼らない社会保障等、管理通貨制度はこれらが容易に実現できるにも関わらず、そうなっていない。この現象は我が国のみならず、米国にしてもそうであるが、富裕層に富が集中してしまう構造になっているのは、不平等な政策をしているからである。
我が国の経済の土台は、このように凹凸が増えていっており、労働者やまともな中小零細企業はますます苦しい状況に追い込まれていっている。凹凸をなくす政策をせよ!